増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
22.甲状腺の悪性腫瘍
高野 徹
1
,
中田 幸子
1
,
網野 信行
1
1大阪大学大学院医学系研究科生体情報医学(臨床検査診断学)
pp.1080-1084
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101576
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
甲状腺悪性腫瘍―最小限の検査でいかに診断・治療をしていくか
甲状腺癌は他の臓器の癌とは全く臨床経過が異なる.簡単にいうと,致死的ではないが経過が長く,再発が非常に多い.したがって他の癌で行われているような化学療法,放射線外照射療法を行うことは稀である反面,一生涯に及ぶ経過観察が必須である.つまり患者の罹病期間が非常に長いことになり,無駄な検査を積み重ねれば患者の医療費はたちまち高騰する.また甲状腺腫瘍自体非常に頻度の高い疾患(成人の約10%)であり1),近年の超音波検査の普及によって精密検査を必要とする症例数は激増している.このような現状から,甲状腺腫瘍においてミニマムな検査で診断および経過観察をするということがいかに重要かということが理解していただけるであろう.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.