増刊号 包括医療と臨床検査
第1章 総論―包括医療とは
1.包括医療の概念
4)医療の質の確保―病院機能評価を中心として
大道 久
1
1日本大学医学部医療管理学教室
pp.882-885
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101537
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定額支払下の医療の質の確保
今後の医療費の支払方式は,出来高払いから定額支払へ移行してゆく必要があることが,かねてから叫ばれている.先般,特定機能病院にDPC(Diagnosis Procedure Combination)による支払方式が適用され,この方向は急速に現実味を帯び始めているといえよう.定額支払方式には,無駄を省いた効率的な医療を行う動機付けが働く一方で,必要な検査や薬剤投与が行われなくなるなど,医療の質に問題が起こる可能性が指摘されている.今後の医療においてその質の向上は重要な課題であるが,定額支払下での医療については,特段に質の確保に留意されなければならない.
今回実施になったDPCにせよ,先行して試行されている急性期包括支払方式(いわゆる日本型DRG/PPS)にしても,定額支払いを受ける医療に病理診断を含む検査は包括されており,適切な検査・診断の実施には十分な検討と留意が求められる.特に病理診断は,医学的診断において重要な意義を有するにもかかわらず従来から医療費における評価が不十分であり,病理医の確保などが困難な病院が少なくないなか,今後の定額化の流れのなかで,その実施がさらに困難になるのではないかと危惧される.
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