増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
1.血液検査
1 最新の自動血球計数器の付加機能
田窪 孝行
1
1大阪医科大学総合診断・治療学講座臨床検査医学
pp.1072-1077
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101053
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1 . 赤血球粒度分布
全自動血球計数器から血球計数と同時に赤血球直径の分布曲線であるPrice-Jones曲線と相似性を示す赤血球粒度分布が表示される(図1).小球性及び大球性貧血の鑑別診断や治療のモニタリングに有用である.
臨床的意義
小球性貧血(鉄欠乏性貧血など)では曲線全体が左に推移し,大球性貧血(悪性貧血など)では右に推移したヒストグラムが表示される.このようなヒストグラムを用いることで上記の貧血が容易に鑑別される.鉄欠乏性貧血が治療により奏効した場合には,治療一週目に粒度分布の右肩に正常な赤血球の出現がみられ,5週目には二峰性の山となり約4か月後にほぼ正常な赤血球粒度分布に回復するのが観察される(図1).このように治療のモニタリングにも有用である.
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