増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
総論
11 今後の臨床検査の経済的側面―2006年度診療報酬改定をふまえて
宮澤 幸久
1,2
1帝京大学医学部臨床病理学
2日本臨床検査医学会
pp.1063-1069
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101052
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はじめに
2006年(平成18年)度の診療報酬改定が3月6日に厚生労働省から告示され,4月1日から施行された.これまで診療報酬の改定には厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が大きな影響力を持っていた.しかし,政府は診療報酬改定に絡む中医協歯科委員の贈収賄事件が昨年発覚したことを捉え,中医協の権限を大幅に縮小した.なかでも特筆することは,医療費の総額を規定する改定率の決定権を,内閣に移譲したことである.今回の改定においては,小泉首相(当時)が医療制度改革を「既得権益にとらわれない改革」の目玉として挙げ,経済諮問会議の答申も踏まえて改定率は3.16%とこれまでに例を見ない高いマイナス査定となった.このうち,薬価などの1.8%分を除いた1.36%が診療報酬本体から引き下げられた.個別項目については,これまで通り中医協で論議され,それぞれの点数は厚生労働省が決定している.
検査料についてみると,前回の2004年(平成16年)改定では診療報酬本体がゼロ査定のなかにあって,10%近い検体検査実施料引き下げが行われたが,今回の引き下げ幅は前回より縮小されたとのことである.
本稿では,今回の診療報酬改定の概要を検証し,経済的側面からみた今後の臨床検査について検討してみたい.
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