増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第2章 血液 骨髄塗抹標本の見かた
6.異常細胞の見かた
1)赤芽球系の異常(1)数の異常―①増加と減少
清水 長子
1
1慶應義塾大学病院中央臨床検査部
pp.1050-1051
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100788
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
正常な赤血球の寿命は約120日であり,老化に伴う膜変化が目印となり,マクロファージに貪食され死滅する.赤血球の膜破壊により寿命が短くなることを溶血(hemolysis)という.寿命前に死滅する赤血球が増え,循環する赤血球が減少すると,それを補おうとして骨髄における赤血球産生能が旺盛となる.
赤血球の死滅が産生を上回ったとき貧血が生じる.ただし,溶血があっても貧血を認めないときもある.骨髄液中における赤血球系の数の異常は,骨髄系細胞:赤芽球細胞の比率(M/E比)または赤芽球の割合(正常域20%±5%)が指標の一つとなる.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.