増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第2章 血液 骨髄塗抹標本の見かた
5.骨髄細胞密度の評価(低形成・正形成・過形成)
骨髄細胞密度の評価(低形成・正形成・過形成)
西村 敏治
1
,
松谷 章司
2
1NTT東日本関東病院臨床検査部
2NTT東日本関東病院病理診断部
pp.1046-1049
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100787
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はじめに
骨髄は全身に分散し,全重量1,600~3,700g1)(体重の約5%に相当)の臓器である.骨髄組織は造血系細胞,脂肪細胞,血管,神経,網内系細胞などから構成されている.通常は約1/2が造血細胞で占められている(年齢,部位,栄養状態によって異なる).需要に相応して骨髄内の造血能力は5~10倍にもなるといわれている1).また顆粒球系や赤芽球系の構成比も種々の病態で変化し,白血病細胞など腫瘍性細胞により置換され,本来の造血系が低形成性となることがある.
造血系細胞には顆粒球,赤芽球,巨核球の三系統があり,顆粒球系や赤芽球系は血球同士が比較的集団をつくる形で分布している.赤芽球はマクロファージを中心に特に密な小集団(赤芽球島)を形成する傾向にある.
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