増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第2章 血液 骨髄塗抹標本の見かた
6.異常細胞の見かた
1)赤芽球系の異常(2)数の異常と形態異常―③赤芽球の減少と形態異常
大畑 雅彦
1
1静岡赤十字病院検査部第2課
pp.1060-1063
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100791
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形態学的所見(図1)
図1から特徴ある所見を二つ挙げることができる.第一に核の濃染した赤芽球系細胞が観察されないこと,第二に中央にある強い好塩基性の細胞質を有した異常な巨大細胞が認められる点である.この巨大細胞は,細胞質の好塩基性の程度,核のクロマチン構造や核小体の形状から巨大前赤芽球と判断できる.本症例は小児で,血小板数の著減を指摘され,骨髄穿刺を施行した症例である.中央の巨大細胞の判別が診断的プロセスのポイントとなる.
このような異常を呈する疾患
骨髄では赤芽球系細胞のみが著減しているので赤芽球癆を考慮すべき骨髄像である.通常,赤芽球癆の診断は赤芽球比率が骨髄細胞の5%以下である点から行われる.表1の2~6が,その代表的な疾患である.また,巨大前赤芽球の存在は,パルボウイルスB19感染症の診断的根拠となりうる(表1-1).
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