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新たなRA特異的自己抗体―抗CCP抗体
石原 康
1
1株式会社医学生物学研究所学術部
pp.677-678
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100678
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はじめに
関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)は人口の1%程度の罹患率とされ,全身性の自己免疫疾患のうち最も患者数の多い疾患である.日本国内では約60~70万人の患者がいると推定されている.近年,メソトレキセートなどの抗リウマチ薬に加え,抗TNFα抗体などの生物製剤が開発されRAの進行を抑制することが可能になってきた.RAの関節破壊は発症初期から進行し始めるとされ,いかに早期にRAを診断して適切な治療を開始できるかが重要である.
RAの診断は米国リウマチ学会の診断基準(表1)に沿って行われ,血清学的な指標としてリウマチ因子(rheumatoid factor,RF)が含まれている.RFはRA患者の7割程度に検出されるが,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus,SLE)などRA以外の疾患でも陽性を示すことが多い.このためRAの鑑別診断に際しての有用性は高いとはいえない.今回紹介する抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-cyclic citrullinated peptide,以下,抗CCP抗体)は,RFと同等の臨床的感度を持ちながらRAに対する高い疾患特異性を示す新たな血清学的マーカーとして注目されている自己抗体である.
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