トピックス
SARSの迅速検査法―LAMP法を用いた検査
峰川 晴美
1
,
納富 継宣
1
1栄研化学株式会社生物化学研究所
pp.297-299
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100600
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2002年11月,中国広東省における重篤な非定型肺炎の流行に端を発し,世界各地で猛威を振るい多数の患者と死者を出したSARS(severe acute respiratory syndrome,重症急性呼吸器症候群)は原因不明の感染症として世界中を震撼させた.原因となる病原体は約3万塩基のゲノムサイズを持つプラスの1本鎖RNAで,世界保健機関(World Health Organization,WHO)により新型のコロナウイルスとして「SARSコロナウイルス」と名付けられた.その後2003年7月に流行の終息が宣言されたが,発生起源を含めSARSに関する医学的,科学的解明はこれからであり,再度の流行に備えて対策を準備しておく必要がある.
SARSコロナウイルス感染の検査法として,ウイルス分離は精度が高いが,手間,時間がかかり,またウイルス抗体検査は抗体産生までに時間がかかる難点があり迅速診断向きではない.従来のPCR(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)法1)ではアッセイ時間,手間の問題があり,またリアルタイムPCR法では高価な蛍光測定装置を必要とする.
そこで現場で簡易に検査可能でかつ感度,特異性ともに高い特徴を兼ね備えたLAMP法がSARSコロナウイルスの検出に威力を発揮するものと判断して,迅速診断キットの開発に着手した.
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