技術講座 血液
血栓止血学的自動測定
安室 洋子
1,2
1聖マリアンナ医科大学内科学
2前・聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部技術課
pp.33-39
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100444
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新しい知見
フォンヴィルブランド因子(von Willebrand factor,VWF)は,主に血管内皮細胞で合成され,巨大マルチマーとして血中へ分泌される.一般にVWFの血小板粘着・凝集などの生物学的活性は分子量に依存して,マルチマーが高分子であるほどその活性は強い.近年,VWFを特異的に切断する酵素(von Willebrand factor-cleaving protease,VWF-CP)メタロプロテアーゼADAMTS-13が同定された.先天的あるいは後天的に本酵素活性が低下すると,血小板の過剰凝集をきたす.本酵素活性の測定は,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura,TTP)の診断および治療方針の決定に大変重要であることが判明した.本酵素の測定法として,1996年にFurlanやTsaiらによりVWF-CP欠乏血漿を用いる活性測定法が考案されたが,方法が複雑であり研究室レベルの測定法であった.昨年ADAMTS-13の特異的合成基質が作製され,今後,簡便に本酵素を測定することができるようになると考えられる.このプロテアーゼの生理的意義やTTP以外の病態(動脈性血栓症など)との関連などについても新しい知見が得られるものと期待される.
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