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ヘマトクリットと止血・血栓
半田 誠
1
1慶應義塾大学医学部輸血センター
pp.41
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903069
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以前から脱水などの急激な血液濃縮は心筋梗塞や脳梗塞などの急性血栓症の誘発原因ではないかと信じられていた.実際,真性多血症患者においては血栓症の合併率が高いことが知られ,術後の下肢深部静脈血栓症は瀉血によりヘマトクリット値(Ht)を下げることでその発生率が低下すること,さらに赤血球造血因子であるリコンビナントエリスロポイエチン(EPO)を使用した慢性透析患者において貧血の改善とともにシャント部位の狭窄などの血栓症の発症が増加する事実は,Ht増加が血栓症発症の原因となりうる可能性を示唆するものである1).
一方,貧血患者における止血機能の低下が以前より指摘されていた.慢性透析患者では出血時間が延長し,血小板粘着能(血小板停滞率)が低下しているが,輪血やEPO投与でHtが改善されるとともにそれらの検査値も正常化の方向に向かう2).
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