Japanese
English
特集 自然免疫と肺
Toll-like receptorと肺傷害
Toll-like Receptors in Lung Injury
橋本 修
1
,
高橋 典明
1
,
小林 朋子
1
,
水村 賢司
1
,
権 寧博
1
Shu Hashimoto
1
,
Noriaki Takahashi
1
,
Tomoko Kobayashi
1
,
Kenji Mizumura
1
,
Yasuhiro Gon
1
1日本大学医学部呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Nihon University School of Medicine
pp.391-400
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100566
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急性肺傷害(acute lung injury:ALI)と急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)は,肺に対する直接的あるいは間接的な侵襲による肺の炎症と肺毛細血管内皮細胞傷害によって発生する透過性亢進を特徴とする症候群である.病理組織学的には,好中球浸潤,肺胞浮腫,硝子膜形成および肺胞上皮細胞と肺血管内皮細胞傷害を示すびまん性肺傷害(diffuse alveolar damage:DAD)である1).生体への侵襲によってマクロファージ,好中球が活性化され,活性化された好中球が肺に集積し,ALI/ARDSが発生する.
獲得免疫と自然免疫
近年,獲得免疫に対して自然免疫という概念が確立され,細菌,ウイルス,真菌などの病原体に対する生体防御機構が明らかにされつつある.自然免疫はほとんど全ての多細胞生物に備わっているが,獲得免疫は脊椎動物のみに存在する.獲得免疫の中心的役割を演じているリンパ球の受容体は遺伝子再構成によって抗原特異性を自己,非自己の認識機構で認識する.一方,自然免疫は遺伝子再構成によらない細胞表面上のToll-like受容体(TLR)が細菌,ウイルス,真菌およびこれらの病原体の成分のパターン(pathogen-associat-ed molecular pattern:PAMP)を非特異的に認識する.
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