オピニオン
臨床検査の価値をアピールしよう
坂野 弘太郎
1
1デイドベーリング(株)
pp.708
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100079
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今日,患者さん,医療従事者,病院経営陣にとって臨床検査はブラックボックスになっており,必ずしも正当な理解や評価をされていません.これまで「臨床検査の顔が見えない」は,臨床検査のプロが信頼を勝ち得ていることの賞賛の言葉でしたが,今や「コストを削減しても臨床検査のアウトプットは変わらない」と誤解されてしまう一因となっています.
「給食コストを削減すると患者さんから不満の声があがるが,検査コストを削減しても当事者以外には強い不満の声があがらない」ため,検査はコスト削減の格好のターゲットとなっています.確かに検査コストを削減しても,すぐには大問題は発生しないかもしれません.検査医,検査技師が最大限の努力を払い,当面は乗り切ることができる運用を工夫するからです.これまでに育ってきた人材がいるため,少々の無理をすることもできます.しかし,昨今はぎりぎりの一線を越えるコスト削減も多く,正確性,迅速性,測定値以外の付加価値情報,リスクマネジメント,院内感染対策,人材の教育や育成など,すぐには大問題として顕在化しないものの,医療の質の維持や向上に不可欠なインフラが確実に犠牲になっています.
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