Senior Course 血清
—最新の免疫学的検査法—分泌免疫グロブリン—IgA系—
冨永 喜久男
1
1九大医療短大部
pp.678-679
発行日 1975年6月15日
Published Date 1975/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917715
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我々の体には血中抗体による免疫系,すなわち系統免疫とは別に,血中抗体によらない免疫系,すなわち局所免疫が存在することが古くから知られている.これが明らかになってきたのは,非血管性のIg量が血中のそれと著しく異なることが判明してきたからで,これに伴い分泌性免疫系という概念が明らかになってきた.殊に多くの人の眼を引いたのは,IgAであって,血中のIg中では十数%を占めるに過ぎないIgAが分泌液中では,主要なIgとして存在するという事実である.非血管性の体液の中には,リコール,滑液膜液などのように,Igの分布が血中のそれとほぼ類似のものもあるが,唾液,初乳,涙などではIgAが主要成分をなしている.このことから分かるように,体内に排泄される液は前者に属し,体外に分泌されるものは後者に属する.外分泌系に属する体液中のIg量は,単に血管から漏出したと考えるだけでは説明できず局所で産生されると信じられている.外分泌系におけるIg濃度が血中濃度と異なっていることから当然の帰結として,系統免疫と局所免疫の解離ということが起こると思われる.
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