特集 癌の臨床検査
IV 癌の検診—主要な症候別癌診断・検査のポイント
3 主な症候便潜血—大腸癌
北條 慶一
1
Keiichi HOJO
1
1国立がんセンター病院外科
pp.1534-1539
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917658
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はじめに
大腸癌の主な初発症状をみると下部大腸癌では出血(血便)であり,上部大腸癌(結腸癌)では腹痛である1).後者ではかなり大きくなって腸管の狭窄が起こり,疼痛が出現するまで自覚症状が乏しいということがあるが,これは,少量の出血では肉眼的に気づきにくいためである(図1).最初はわずかな潜血である.癌の発育増大に伴って出血が増え,単なる血液の付着のみでなく粘液を混ぜた血塊ないし黒みを帯びた血便がみられ,それが長く続くと貧血を呈するようになる.このことから大腸癌の発見に便潜血テストが,また大腸癌の集団検診には便潜血テストによるスクリーニングが手段として利用されている2〜6).
ここに大腸癌の検診,特に大腸集検における便潜血テストの意義を述べる.
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