特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
5 細胞診
高橋 正宜
1
Masayoshi TAKAHASHI
1
1(株)エスアールエル八王子ラボラトリー
pp.1455-1465
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917639
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はじめに
細胞診は当初,腔分泌物のホルモン細胞診を端緒として始まり,約10年遅れて1950年代に子宮頸癌の発見を嚆矢として癌細胞診が主役を担うようになってから40年を経ている.
癌の病理学的診断には,かつて基底膜を破壊した浸潤性増殖が重要な判定条件の一つであったが,0期癌の基準が確立されてからは癌の増殖機能を表す特徴に置き換えられている.細胞診は画像診断の発展に伴って活用域は拡大し,aspiration needle biopsy cytology(ABC法)として主要な分野をなしている.膵,肝,肺,卵巣など,乳腺,甲状腺,前立腺に加えて深部諸臓器も診断の対象となっている.しかも,それは単なる悪性腫瘍の確認ではなく,いつ(early or advancedstage),いかなる形状の(cell typing),どこから(primary site)発生し,どんな増殖性格か(growth behavior),の面の情報も提供する時代である.
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