特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査
B.各論 13)PIVKA-II
大倉 久直
1
,
梶村 直子
1
,
岡崎 伸生
1
Hisanao OHKURA
1
,
Naoko KAJIMURA
1
,
Nobuo OKAZAKI
1
1国立がんセンター病院臨床検査部
pp.1377-1380
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917619
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性状
PIVKA-IIとは,ビタミンK欠乏に際して作られる異常プロトロンビンの一種で,protein induced by vitamin Kabsence-IIまたはdes-γ-carboxylprothrombinと呼ばれる.プロトロンビン前駆体のN端にある10個のグルタミン残基をカルボキシル化してグルタミン酸に変える酵素,γ-glutamylcarboxylaseにはビタミンKに依存性があるため,ビタミンK欠乏状態では正常なプロトロンビンが作られず,代わりにグルタミン酸残基を欠くか,または数の少ないPIVKA-IIが作られる.このPIVKA-IIはカルシウムイオンと結合できず凝固活性を欠いているために,正常プロトロンビンが低下し,PIVKA-IIが増加した病態では凝固異常がみられる.
PIVKA-IIは初め未熟児のビタミンK欠乏性出血の病態把握のための指標として開発されたが,その後,新しい肝癌の腫瘍マーカーとして評価された.
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