研究
遊離グリセロールを測り込まないトリグリセリド測定試薬の評価
大久保 滋夫
1
,
眞重 文子
1
,
亀井 幸子
1
,
大久保 昭行
1
,
山中 學
1
1東京大学医学部附属病院中央検査部
pp.329-332
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917422
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
トリグリセリド(TG)は,血清中の脂質中総コレステロールに次ぐ項目として扱われているが,操作が煩雑な化学的な測定法に代わって,酵素的測定法が開発され格段に簡便となった.初期の酵素法は,TGを化学的に加水分解して生じたグリセロールを酵素法にて測定したものであったが,現在では,ほとんどのキット試薬が全反応過程に酵素を用いている.しかし,これらの酵素法は,TGを加水分解して得られたグリセロール以外に血清中の遊離グリセロールを含めた総グリセロール量を測定してしまうことが問題点である.加水分解酵素を除いた反応系で血清中の遊離グリセロール量を測定し,ブランクとして差し引くことで,この問題点を回避することができるが,用手では.二重手間であり,自動化機器では,ブランクチャンネルを設けなくてはならなくなり,機器,試薬の二重の面で不経済である.今回,協和メデックスより発売された遊離グリセロール消去法によるTG測定キット「デタミナーTG-S」を検討する機会を得たので,その成績について報告する.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.