増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
脂質・リポ蛋白
TG(トリグリセリド)
岡部 紘明
1
1熊本大学医学部臨床検査医学
pp.378-381
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906387
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
トリグリセリド(triglyceride:TG)はトリアシルグリセロールあるいは中性脂肪ともいい,グリセロール(G)に3分子の脂肪酸(FA)がエステル結合している.このFAはアルブミン(ALB)と結合して,肝臓や筋肉に取り込まれ,ミトコンドリア内でβ-酸化され,アセチルCoAが生成されてTCAサイクルに入り,エネルギー源として利用される.血中ではキロミクロン(Chyl),超低比重リポ蛋白(VLDL)に多く含まれている.一部は中間比重リポ蛋白(IDL),HDLなどにも存在している.一般にTGの1日の摂取量はコレステロール(Chol)の摂取量(0.2〜0.5g)の約200倍といわれ,食物のTGは膵リパーゼ(LIP)でジグリセリド(DG),モノグリセリド(MG)に水解されるが,90%以上はTGとして存在する.TGは小腸絨毛から吸収され,腸管粘膜細胞内でChylを合成し,腸管リンパ管,胸管を経て血中に入る.カプリル酸など炭素数C8〜C10の脂肪酸は,TGに再合成されてもChylにはならず肝臓に取り込まれる.Chylは血中でHDLのアポC-II,アポC-IIIやアポEにより成熟したChylとなる.このChylのTGはLPLにより毛細血管内皮細胞上で水解され,小型化してChylレムナントとなり,アポEをリガンドとして肝細胞の受容体から取り込まれ,外因性TGとなる.
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