技術解説
血清検査と自動分注器〈グラフページ参照〉
堀越 晃
1
1東大病院中央検査部血清
pp.983-987
発行日 1966年10月15日
Published Date 1966/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917062
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臨床検査に分注器が広く使われるようになったのは中央検査制度になってからである。分注器の特徴は,一定量の溶液を正確にしかも能率よく連続的に多数の容器に分注ができる点にある。血清反応では液の測定,稀釈,分注などメスピペットを用いる検査が多く,検査技術の中でもピペット操作は大切な手技である。特に補体結合反応における補体液や,溶血系統(感作血球)の分注は,正確に能率よく処理しないと正しい結果は得られない。しかしながらメスピペットによる分注は,熟練した技術者でもかなりの誤差が伴うものである。多数の検体を扱う検査室では,かぎられた時間内に能率よく処理するため分注器が使われるようになってきた。
分注器は従来輸入品が使用されていたが,近年国産品が普及して安く購入できるようになってきた。輸入品はかなり高価であり,また注文や部品の取換えも長期間を要するので不便なことが多い。国産品もかなり改良されて使い良くなり,精度も高く,一般の検査に用いるには十分と思われる。
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