知っておきたい検査機器
自動血清分取・分注装置
堀越 晃
1
1筑波大学付属病院検査部
pp.473-478
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202510
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臨床検査の高度利用による検査件数の増加に伴い,自動分析装置の導入が進み,検査の能率はかなり向上した.しかし,検査以前の前処理といわれる検査依頼から測定開始までの作業を,能率化またはシステムすることについては,あまり関心が払われている施設は少ない.これは前処理という作業が大切なことはわかっていても,ここに費用をかけることには直接収入に結びつかないことから後回しにされているのである.しかも大切な前処理に臨床検査技師を配置している施設は少なく,全く資格のない素人が配置されてこれらの作業を行っているのが実情ではないだろうか,ところがこれらの前処理が正しく,しかも迅速に行われているかどうかによって,それ以後の検査業務に大きな影響を及ぼしている.
検体検査として用いられる検体のうち,生化学検査,核医学(RIA)検査,血清(含輸血)検査および特殊検査などに血清あるいは血漿を用いる検査では,採血から血清(血漿)を分離するまでの前処理作業が必要である.毎日検査室に運び込まれる大量の検体を部門別に整理し,番号をつけて遠沈分離し,血清が分取・分注されて検査に入るまでには,かなりの時間と労力が必要である.これらの作業は検査以前の前処理として全く人手にたよって実施されてきたが,検体数の増加に対処するために,機械化による能率アップ,感染予防,採血管の取り違い,分注作業のミスなどをなくすために,システム化によって自動的に処理する装置の開発が行われるようになってきた.
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