技術解説
原虫のシストグラフ参照
浅見 敬三
1
1慶大・寄生虫
pp.35-39
発行日 1971年1月15日
Published Date 1971/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907059
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
原虫類の検査は日本の臨床検査関係者の最も苦手とする領域であろう.日本では寄生原虫類がその種類および頻度の点で比較的少ないとはいえ,無視してよいというほどではない.文明国はいずれも日本と同程度なのだが,他国の関係者のもっている知識は日本のそれに比べると,はるかに高い.普通の糞便検査で,寄生虫卵と同時に原虫類を検査することは常識であるが,日本では果たしていくつの検査機関がこれを行なっているであろうか.
一般に,原虫類の検査はきわめてむずかしいという誤解が広く関係者間にしみ渡っているようであるが,決してそれほどにむずかしいものではなく,特別な熟練を要するものでもない.そのものを知らないから,見えていても識別できないだけのことなのである.原虫のシストに特有な光り方を一度頭に入れてしまえば,それと同じ光り方をする物体がその後はいやでも眼につくようになるし,そうなれば,参考書をひもといて種類の同定までにも進めるわけである.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.