技術解説
マラリア原虫—その種々相と鑑別診断〈グラフページ参照〉
海老沢 功
1
,
三井 源蔵
2
1東大伝研内科・中央検査部
2熱帯医学協会
pp.622-625
発行日 1966年7月15日
Published Date 1966/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915965
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
現在わが国内にマラリアはないが,一歩海外に目を向けると図1に示すようにマラリア流行地域が世界中に広く分布していることに気づく。近年海外旅行者が増え,ことに東南アジア・アフリカ・中南米諸国に,技術援助・プラント輸出・その他いろいろの形で往復,滞在する者が多くなった。このような状況の下でもっともかかりやすいのはマラリアであろう。しかも現地で発病して,国内で再発するもの,あるいは帰国後発病する者などいろいろな病型があり,また感染したマラリア原虫の種類によって経過,病型,治療剤の撰択も異なるので正しい治療を行なうには血液検査によって病原原虫の正確な診断を下すことがもっとも重要である。
他方医師がマラリアを疑ってその検査を指示してくれればよいが,不明熱とのみ診断してマラリアを疑わないような場合がある。このさいは血液塗抹標本の白血球百分率をみる検査技術者に,マラリア原虫をみる目があれば医師の思いもよらぬ診断が得られることになろう。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.