目でみる症例―検査結果から病態診断へ・12
リンパ腫型α鎖病
伊藤 喜久
1
Yoshihisa ITOH
1
1自治医科大学臨床病理学教室
pp.1371-1373
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916955
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検査結果の判定
寒天電気泳動では,アルブミンの軽度低下,α1領域の軽度上昇,α2領域の中等度の上昇,免疫グロブリンの軽度低下から急性炎症パターンが疑われ(図1,上),抗ヒト全血清を用いた免疫電気泳動においても,α1-アンチトリプシン,ハプトグロビンの増加,アルブミン,IgGの軽度低下がありこれを裏づけている(図1,下).
ところが,病理組織所見の結果を受けて行った特異抗体による免疫電気泳動では,抗α鎖(IgA)抗体に反応してα1領域からmid-γにかけて荷電の不均一な沈降線があり(図2,▼印),α2領域から原点付近までの同一移動度には,抗κ,抗λ抗体と反応する沈降線は認められず,血清中にはα鎖の存在が疑われた.
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