入門講座 病理
薄切(1)
畠山 茂
1
1東京医歯大医病理
pp.512
発行日 1967年7月15日
Published Date 1967/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916675
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パラフィンの薄切はそんなに難かしいものではない。メスに刃がついていてブロックが良く,ミクロトームを慣れた人が適当にsetしてやれば初心者でも容易に切れるものである。しかしそれらを自ら点検して自由に切れるだけの力量を得るには,何をおいても注意深く数多く切ってみるよりほかはない。連続切片作製や大型切片薄切などの技術は,地道な通常切片薄切の経験の上に積まれるべきものである。
メスが切れるかどうかは,研いだメスの仕上がりをいつも顕微鏡で鏡検する癖がついているとちょっと指裏で触れてみるだけで判定できるようになる。切れないメスは,大低刃先が丸刃または蛤刃になっているためで,段々になっているのが鏡検され指裏の吸いつきがわるい。最近は両面が平面に仕上っている凍結切片作製用のメスがはやっており両面を平等に研ぐと裏表の区別なく使える利点があるためメス方向を逆にすることにより全長にわたって使用できる。また自働研磨器の普及によって長さ20cm以上のメスも容易に研ぐことが可能なのでメスもしだいに大型化し標準の17cmより大きなメスが多く使用されるにいたっている。メス研ぎのさい注意すべきことは,研ぎ鞘を使用する場合はまず鞘はきまったものを使いかつ固定位置を常に一定にしておくこと,自働研磨器の場合も刃先の角度を一定にして蛤刃にならないようにすることであろう。メス研ぎに関しては臨床検査10巻4号(内海)にくわしいので参照されたい。
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