入門講座 病理
薄切(2)
畠山 茂
1
1東京医歯大医病理
pp.591
発行日 1967年8月15日
Published Date 1967/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916184
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本切り面ならしは,荒削りで組織面の全体がでたらメス刃を替えて行なう。ブロックの高さは荒削りの位置から一度下げて替え刃に対しブロック面を調節する。このさいブロック面を本切り刃の下4〜5mmの位置まで上げてゆきブロック台を前後に移動させながら全面がメス匁に対しできるだけ平等の高さになるように,ブロック面の傾斜を少しずつ変えながら調節する。これはブロック面に映る匁先の陰影の幅を見ながら行なう。かくしてうまくいけばわずか2〜3枚の部分薄切で全面が切れるようになる。
次にメス刃のブロック面に対する傾斜角度について述べると,図でβ角がメスの軸とパラフィン面の傾斜度を示しα角はネタ匁角で20°に研いでおくのが理想的であり,γ角はネタ匁面とパラフィン面との角度で"逃げの角"という。通常のパラフィン薄切では③がよくγ=2〜5°β=13〜15°であり,セロイヂンないしゼラチン薄切では④がよくβ=α=10°,γ=0°である。②のごとくβ>15°以上では刃軸が立ちすぎているためパラフィン面に小波状の切面ができブロック面の端がこわれやすくなり,①でβく10°になると薄切はできないことになる。またネタ匁角が厚くなってくるとそれに比例してβ角を大きくしなければ切れないしその結果として②のような現象が起こりやすくなる。ネタ匁が20°より薄くなると匁先が傷みやすいのと,きれいな研ぎ上がりが難かしくなる。
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