カンボジアだよリ
仏教王国カンボジア—派遣検査技師の現地報告(2)
加藤 哲
pp.374
発行日 1967年5月15日
Published Date 1967/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916659
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Battambang州は米の産地として有名な所ですが,米の収獲が終る2月から3月の初めにかけて広々とした田んぼの所々にある大木に,あかい大きな花が一斉に満開となり,雄大な青空の下にみごとな景観を呈するようになります。土地の人はこの木をプカチャーと呼び,この花が咲くと春がやってきたのだといいますが,なるほどそういって見ると医療センターの裏にもそびえている釈迦で有名な菩提樹も若芽が出始めて新緑を呈しており,クメール語にも"ニティーカロードウ,ワサナロードウ,サラタロードウ,セセラロードウ"と春夏秋冬という言葉があり,年中暑い気候とはいえやはり季節というものがあるようです。
プカというのは花の意味ですが,チャーについては私にはわかりません。同じ発音に聞える言葉に女性の返事がありますが,若い女性のチャーと答える音色には大変色気のひびきがあります。暑さのためか,またはシラミの予防のためか丸坊主にした老人についても返事一つでおじいさんか,おばあさんかの区別ができるわけです。
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