技術解説
一般肺機能検査法
金上 晴夫
1
,
桂 敏樹
2
1国立がんセンター呼吸器科
2国立がんセンター臨床検査部
pp.878-885
発行日 1965年10月15日
Published Date 1965/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916589
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はじめに
肺は生体に酸素をあたえ炭酸ガスを排出する重要な器官である。したがって肺のはたらきの最終目的は,体内を循環して肺にかえってきた静脈血から炭酸ガスをとり酸素を供給して動脈血化することである。肺のこのようなはたらきを完成させるためには,1)換気(肺への空気のだし入れ)2)ガス分布(肺に入った空気の肺の各部分への配分)3)拡散(肺胞気と毛細管血間のガス交換)4)肺循環(肺における血液循環)という4つの過程が円滑に行なわれなければならない。もしこの過程のどこかに障害が起こると,生体のガス交換は阻害される。したがって肺機能障害の有無,程度をしるためには,ただ1つの検査だけでは不十分で,4つの過程について十分な検査を行ない結果を綜合して判定する必要がある。最近,肺生理学の進歩に伴い,これらの過程を測定する種々の肺機能検査法が出現した。しかしこの中には拡散能力測定や心カテーテル法のように,高価な装置を必要とするので限られた研究所や大病院でしか行なえないものもある。その点,換気機能の測定は装置操作ともに簡単で,どこの病院でも測定可能であり,しかも臨床的意義が大きい。今回は紙面の都合もあるので肺機能検査にあたり最初に必らず行なわなければならないレスピロメーター(Respirometer)による換気機能検査について,測定方法・計算法・検査の意義などをわかりやすく解説したい。
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