特集 血液検査の問題点
11 血液像検査の問題点
伊藤 宗元
1
1国立東京第二病院内科医長兼血液検査室
pp.911-916
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916546
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はじめに
血液塗抹標本の観察は,他の血液検査に比して,疾患の病的状態を決定づける最も大きな意義を有する、すなわち赤血球数の減少,白血球数の増加・減少を血液像の観察から推察される場合が少なくないし,また血球の数的変化の少ない場合でも,病的状態を発見しうる。1枚の血液塗抹標本で白血球系ではもちろん,その細胞の形態学的変化・成熟度・出現率による変動によって病的状態が意義づけられるし,赤血球系でもその染色性・形態・大きさなどによってある程度の診断がなされ,血小板の観察からも,その数的変化はもちろん,その形態学的変化をも知りうる。
血液像検査の目的は,いかに生体内血液変動を再現し得て,その観察から疾病を推論に導くかである。それにはまず,標本作成時に細心の注意が必要であることはもちろん,次いで血球の観察にいかに習熟するかが,診断上最も必要となる。
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