Japanese
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特集 パーキンソニズム(第4回脳のシンポジウムより)
臨床像における二,三の問題点
Some Remarks of Clinical Manifestations in Paralysis Agitans
後藤 昭
1
Akira Goto
1
1順天堂大学医学部脳神経科
1Dept. of Neurology, Faculty of Med., Juntendo Univ.
pp.957-962
発行日 1968年12月25日
Published Date 1968/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904563
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I.はじめに
パーキンソニズムの病態についてJames Parkinsonが"An essay on the shaking palsy"(1817)1)と題する記載を行なつてからちようど本年で151年経過したことになる。本症の主要症状たる振戦,筋強剛,運動緩慢が主として老年期における錐体外路系障害に起因するものとして,本症を特発性振戦麻痺と称するようになつたが,さらに一方脳炎後のパーキンソニズムを始め,一酸化炭素によるものやその他の障害による症候性振戦麻痺が知られるにいたり,現在では便宜上これらを一括してパーキンソン症候群あるいはパーキンソニズムとして扱う傾向にある。しかしながら各症例毎について,これらの病因を必ずしもいつも明らかにしうるものでなく,また臨床上の所見のみから各型を区別することに困難を感ずる場合が多いのである。本稿では昭和35年より昭和42年までに経験したパーキンソン症候群の273症例について検討し,パーキンソニズムは通常遺伝性疾患とは考えられていないが,家族歴の陽性のもの。きわめて緩徐に進行性であること。経過とともに特有の精神症状の発現してくる傾向の程度。筋強剛よりはむしろ振戦ないし群化現象の方が,より本質的かつ必発の症状であること。自律神経症状やakinesiaの存在の有無。とくに病因として因果関係を見出しうるような前病歴のないこと。
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