特集 血液検査の問題点
10 白血球数と生理的動揺
滝川 清治
1
1名市大・内科
pp.906-910
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916545
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血液中における白血球の態度
われわれは,耳朶から1滴の血液をとって,その1mm3中にある白血球数を算える。これが,現在行なわれている血液白血球数の算定法である。同様にして,赤血球数を算定しても,血液が濃縮され,または稀釈されていることがあるために,全身の血液量(全血量)を測定して,全身の赤血球数(全赤血球数)を算出しなくては,真の貧血または多血症を確診することができないのと同様に,真に白血球が増加しているか減少しているかの確診には,きわめて多くの問題をはらんでいる。
白血球については,血液の濃縮または稀釈以外に,白血球の循環は赤血球と違い,open systemであること,血液のなかでもすべての白血球が平等に循環しているのではなく停滞しているものがかなりあること,白血球には,顆粒球・リンパ球・単球という種類があり,それぞれがほぼ独立の増減をすること,などによって,血液白血球数に大きな影響を及ぼす因子が赤血球よりも多いことが問題になる。
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