技術解説
白血病が疑われる血液像
伊藤 宗元
1
1国立東京第二病院内科
pp.826-834
発行日 1975年8月15日
Published Date 1975/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909058
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毎日の臨床血液検査の血液標本から,白血病を疑われる標本を分別することは非常に重要なことではあるが,これをより十分に行うことは,多くの経験を持つものにとっても全く至難の業であるといいうる.我々が普通に血液検査所見からのみ白血病とまず疑う場合は,白血球が異常に多いとか,血液塗抹標本中に幼若異型細胞をある程度以上認める時で,それは決して困難ではない.
しかし,今回編集部から求められたものは,このような定型的な血液像を示さないが,どうも白血病を疑われるものについての鑑別法という問題である.しかし,この"疑う"ということが難しいことで,どのようなものをどう疑うかということから述べることになると,何らかの血液像異常のあるものすべてを疑わなければならず,逆に,ほぼ正常に近い血液像をもつものでも決して白血病ではない,なりえないという前提はないのである.また,本項は技術解説ということになっているが,血液像,特に個々の細胞形態を判別することは,技術というよりもよく細胞成熟を念頭においた数多くの経験のうえに立つもので,個々の細胞が,細胞系列のいずれの系列の,いずれの成熟段階にあるかによって異常性が大きく左右されるために,細胞個々の形態異常にのみ捕らわれることは非常に危険である.
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