特集 グラフ特集臨床検査の基礎
組織迅速診断と細胞診
肺がんの細胞診
奥井 勝二
1
1千葉大医学部綿貫外科
pp.58-61
発行日 1966年11月25日
Published Date 1966/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916034
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細胞診は最近急速に進歩し,多くの人に行なわれるようになった。今年の第7回日本臨床細胞学会総会では東京大学分院外科林田教授,城所博士によっ,て術中細胞診が特別講演としてとりあげられ,非常に優秀な成績を発表され,正確さにおいて組織診のレベルまで達したように傾聴した。細胞診を日常行なう者にとっては大きなはげみであると共に,進歩であると思う。
肺癌の細胞診を施行するさいに,その検体が喀痰,気管支鏡のさいの擦過物,分泌物あるいは胸水と条件の異なる各種材料をとりあつかわなければならない。それらによって顕微鏡下にあらわれる細胞の形態は異なることは当然である。また同じ剥離細胞でも喀痰と気管支鏡のさいのブラッシングによって得られた細胞では変性・崩解の程度が異なり,細胞判定は後者の場合に容易である。すなわち枯葉と青葉の差があるわけである。
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