特集 塗抹検査
技術解説
悪性腫瘍細胞診
福島 範子
1
1同愛記念病院・検査科病理
pp.799-807
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915804
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
悪性腫瘍の細胞学的診断が広く日常化して行なわれるようになつた今日,Papanicolaou法をはじめとする一般的な手技や,腫瘍細胞の特徴などに関する知識はここ10数年来,わが国でもかなり常識化してきた。ただ臨床検査全般の中央化,能率化,高度化の傾向とともに検査にたずさわる者が,提出される材料と患者との結びつきを,ともすれば忘れやすい環境になりつつあることは事実である。しかしわれわれが常に考えておかねばならぬことは,いかなる条件で取られた細胞か,ということである。材料のとり方の検討は近年格段の進歩をとげ,腫瘍細胞診の適応範囲を拡げて対象とならない臓器が少くなつた。一方,細胞の見方も多種染色法の応用や,電子顕微鏡的,生物学的観察とともに次第に微細構造に及びつつあるのが現在の動向である。今回の特集では各材料別の担当者の記述に当然,腫瘍細胞も含まれ,重複する部が多いと思うので,一般病院検査室のルーチン・ワークとしての細胞診には「どんな材料が適当で」それを「どう扱えば良いか」この2点にしぼって述べる。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.