今月の主題 生理検査
技術解説
体表面心臓電位図の臨床的意義
山田 和生
1
,
林 博史
2
1名古屋大学・環境医学研究所
2名古屋大学病院臨床検査部
pp.1115-1125
発行日 1980年10月15日
Published Date 1980/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915589
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心疾患の診断において最も基本的なものは,心臓の電気現象を捕らえることである.これは心臓の興奮の発生及びその伝播の様子を種々の方法で導き出すことにより,心臓の解剖学的・病理組織学的及び機能的異常の診断を下そうとするものである.この目的で古くより臨床応用されているのが,標準12誘導心電図及びベクトル心電図(Frank誘導法など)である.これらの方法に関する理論的検討は既に十分なされており,更に手術,剖検所見などとの対比により,その臨床的有用性が極めて高いことは論を待たない.
しかしこれらの誘導法にも問題があることが指摘されている.すなわち単極誘導心電図は心臓局所の変化の診断に有用であるが,誘導点の数が限られており,特に右胸部及び背部には誘導点がなく,心臓の電気現象を十分に表現できるかどうかが問題である.また,ベクトル心電図法は心臓の電気現象を単一の心起電力ベクトルにより等価表現するために考え出された誘導法であるので,心筋局所の変化の表現には不都合なことが少なくない.したがって新しい優れた心電図誘導法が開発され,ある特定の心疾患に対して感度が良く,また特異性の高い診断が可能となることが強く望まれる.
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