負荷機能検査・8
Schillingテスト—ビタミンB12吸収試験
寺田 秀夫
1,2
1昭和大学・内科
2藤が丘病院
pp.937-943
発行日 1980年8月15日
Published Date 1980/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915546
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ビタミンB12欠乏とSchillingテスト
ビタミンB12欠乏による悪性貧血は1855年にAddi-sonが初めて"idiopathic anemia"として発表し,その後Biermer (1872)がその臨床像を詳細にまとめた.その後1926年にMinot & Murphyが,悪性貧血の患者に生の肝臓を食べさせることによって著しい治療効果を認めた.次いでCastle (1929)が本症は正常人胃液中にある内因子(intrinsic factor;分子量55,000の糖蛋白)と外因子(食物性因子)から成る抗悪性貧血因子(antiperni-cious factor)の欠乏によって起こると仮設した.更にその後Rickes & Smith (1948)が肝臓から,本症に有効な物質として微量な赤色のビタミンの結晶の抽出に成功した.この物質はビタミンB12(VB12)と命名され,その欠乏によって悪性貧血が起こることが明らかになり,更に小腸の部分切除や吻合などによって生ずる盲管症候群(blind loop syndrome)などの吸収不良症候群(malabsorption syndrome)に,しばしば悪性貧血に類似したVB12欠乏による巨赤芽球性貧血(megaloblastic anemia)が発生することが知られるようになった.
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