Japanese
English
研究
新しい臨床検査としてのフィブリノゲン分画測定の試み
Determination of Fibrinogen Fractions by a New Clinical Laboratory Method.
前田 恭子
1
,
今村 多恵
1
,
森川 幸子
1
,
奥田 克子
1
,
小島 早苗
1
,
須知 泰山
1
Yasuko MAEDA
1
,
Tae IMAMURA
1
,
Yukiko MORIKAWA
1
,
Katsuko OKUDA
1
,
Sanae KOJIMA
1
,
Taizan SUCHI
1
1愛知県がんセンター病院臨床検査部
1Dept. of Pathology and Clinical Laboratories, Aichi Cancer Hospital
pp.713-717
発行日 1980年6月15日
Published Date 1980/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915496
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はじめに
フィブリノゲンは血漿中の血液凝固因子のうちでは最も高濃度に存在しており,血液凝固に際してはフィブリンとなり,血餅の主成分を構成する.したがってフィブリノゲンの異常を検知することは,血液凝固系疾患の診断にとって極めて重要である.また,フィブリノゲンは肝で生産されるため血漿中のフィブリノゲンの量は肝機能をよく反映するから,肝機能を知るための手段としても利用されてきた.
フィブリノゲンはα(A),β(B),γなるポリペプチド鎖のそれぞれ一対ずつ,合計6本のポリペプチド鎖より成る単一な蛋白であると考えられてきた1)が,最近に至って,フィブリノゲンが種々の分子種より成る可能性が示唆されるようになった.例えばFinlaysonら2)及びLipinskaら3)は,それぞれヒトフィブリノゲンが高分子量,低分子量の2分画より成ることを報告した.Mose-ssonら4)はこの低分子量分画がフィブリノゲンの部分水解物であると主張した.一方,Lipinskiら5)は重症肝障害患者の血漿において,総フィブリノゲン量は正常であるが,高分子分画が減少していることを報告した.またWeinsteinら6)は肝硬変患者の血漿において,フィブリノゲンの高分子,低分子分画の比は正常であるが,そのα(A)鎖の組成が異常であると報告した.
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