Japanese
English
研究
患者データを用いる基準値作成法の評価
Evaluation of the Reference Values Based on Hospital Patients' Results.
北村 元仕
1,2
,
飯森 糸子
1,2
,
村川 和枝
1,2
,
橋本 寿美子
1,2
,
飯塚 悦功
3
Motoshi KITAMURA
1,2
,
Itoko IIMORI
1,2
,
Kazue MURAKAWA
1,2
,
Sumiko HASHIMOTO
1,2
,
Yoshinori IIZUKA
3
1虎の門病院生化学科
2沖中記念成人病研究所
3東京大学工学部反応化学科
1Dept. of Clinical Chemistry, Toranomon Hospital
2Okinaka Memorial Institute for Medical Research
3Dept. of Reaction Chemistry, Faculty of Engineering, Univ. of Tokyo
pp.1519-1523
発行日 1979年12月15日
Published Date 1979/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915331
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緒言
正常値は健康正常人の示す範囲であって,健常者から求めるのが正統であるが,1963年にHoffmann1)が患者データから正常値を求めるデータ処理法の可能性を提示して以来,コンピューターを利用するなどして,患者データから正常値ないし基準値を求める数多くの手法が開発され発表されてきた2〜7).最近では,検査室に集積する患者データを送れば,基準値を返送してくれるコンピューターサービスも市場に登場さえしている.更に,実際に各病院,検査センターで使われる正常値の現状を調べると,患者データを利用するものが多くを占め,この方法がしだいに浸透しつつあることが分かる.
1969年にAmador and Hsi8)は確率紙法をはじめNeumann法2),average of normals9)など,これら患者データを利用する手法の信憑性を調べ,正統的に健常者データより求めた正常値からいずれも大きくずれることを指摘した.彼らは血糖,BUN, GOT, LDH, ACP及びコレステロールの6種の化学成分について検討しているが,患者と健常者の性,年齢構成が必ずしも等しくなく,また分布型に対する十分な考慮がなされていないという欠点がある.更にその後多くの基準値作成が提案され続けている現状では,患者データから求める正常値が果たして信頼しうるのかという問題は未解決のままであると言える.
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