総説
生化学的肺機能検査—その背景,現状と展望
北村 諭
1
1東京大学第3内科
pp.381-387
発行日 1978年4月15日
Published Date 1978/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914718
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肺機能と言えば,従来はガス交換と関連した肺の働きを意味していたが,今日では,それだけでは不十分である.肺にはガス交換のほかにも,血液中の異物を濾過するフィルター作用,血液貯留所としての作用,水と電解質バランスの維持,揮発性物質の除去,細菌をはじめとする経気道的異物に対する除去及び防御,凝血塊などのフィブリン溶解作用がある1).更に肺ではタンパク質,炭水化物,脂質,結合組織,血管作動性物質などの代謝が活発に行われている.
このような各種の肺機能のなかで,近年ますますその重要性を増しているのは,肺の各組織を構成している各種細胞中で進行する生化学的過程と関連した"生化学的肺機能"である.肺には40種類以上の異なった細胞があり,このことはまた,肺内で進行している生化学的過程の多様性を如実に物語っているものと言えよう.
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