技術解説
螢光偏光法によるリンパ球活性化の測定法
橋本 康男
1
,
高久 史麿
2
1東京大学第3内科
2自治医科大学・第1内科
pp.831-834
発行日 1977年8月15日
Published Date 1977/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914437
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細胞性免疫能を把握する方法の一つにリンパ球幼若化反応がある.この方法はヒトの末梢血リンパ球にPhytohemoagglutininやConcanavalinAなどの分裂素を加えて刺激し,リンパ球を分裂増殖させ,DNA合成期に入ったリンパ球にH-Thymidineを取り込ませ,放射活性を測定し,リンパ球幼若化の程度を測定する.しかしこの方法は次のごとき短所を有する.①48時間から72時間の培養が必要である.②放射性同位元素を用いるので特別の設備が必要である.③培養を行うため無菌操作が必要である.④人工的な培養液,特にウシ胎児血清を使用する場合には,非特異的なリンパ球の幼若化現象がみられる.したがって,リンパ球の幼若化を早く,正確に把握できる方法が必要である.リンパ球の幼若化現象の一連の過程の中で,最初のリンパ球活性化に着目し,従来のリンパ球の幼若化現象の代わりに使用する試みが行われた.リンパ球に刺激素を加えると,リンパ球細胞膜の流動性が変化し,キャップフォーメーションを起こすことが報告されている.このリンパ球細胞膜の流動性の変化は,3H-thymidineの取り込みでみると,リンパ球幼若化反応とよく相関し,これはリンパ球幼若化反応の最初の反応と推定される.リンパ球の細胞膜をDPHという螢光色素で標識し,螢光偏光法にて,螢光偏光度を求め,間接的にリンパ球の膜の流動性を測定する.
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