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臨床検査法の近年における進歩は著しく,それによって診断と治療は,例えば20年前に比べてみるとまさに飛躍的といえる進歩がもたらされたといえる.その主たる要因はラジオアイソトープの利用,生化学反応の自動検査法の導入,特異的な細菌鑑別同定川キットの発達,さらに各種免疫学的手法の応用などであろう,それらはいずれも,高感度化と簡便化に加えて迅速性や信頼性において満足すべきものである.さらに最近数年間においては,酵素抗体法(ELISA;enzyme linkedimmunosorbent assay)がほぼ実用化の域に達するまでに開発されてきている.この方法は,放射能の持つ有害性あるいは〔125I〕などのアイソトープの持つ限られた半減期の問題はなく,感度的にはあまり遜色がない.
今回ここにとりあげる蛍光イムノアッセイ,特に蛍光偏光(解消)法によるアッセイ法はELISAと同じく放射能は用いず,しかも上記のRIAやELISAとは異なって分離操作を用いずに,mixtureのまま測定可能なために,操作法が一段と単純化されるので有用性が認められるものである.この1〜2年間に三種類の臨床検査のための蛍光イムノアッセイ用の装置が実用レベルで応用されはじめている.例えば,米国のアボット社のTDX(therapeutic drug monitoring)システム,またマイルス社からフロロイムノアッセイ測定装置,あるいは和光純薬,その他のレーザーネフェロメーターなどが発表されるに及んで,普及近しの感を与えるものである.これらはそれぞれ原理的には蛍光偏光度,蛍光強度,あるいは光散乱など異なるわけであるが,一面では蛍光イムノアッセィという点で共通面も考えられる,ここに収りあげる蛍光偏光法は,蛍光イムノアッセイへの応用はもちろん,それ以上の応用が考えられるので,その広い可能性を具体例をあげながら紹介したい.
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