特集 アイソザイム検査
II.各論
22 乳酸脱水素酵素
塚田 敏彦
1
Toshihiko TSUKADA
1
1虎の門病院臨床化学検査部
pp.1362-1369
発行日 1988年10月30日
Published Date 1988/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913808
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アイソサイム分画の性状
1.構造
脊椎動物の乳酸脱水素酵素(LDH)はNAD+依存性(NADP+反応は極弱)であるが,微生物にはフラボプロテイン型やD-乳酸依存性のLDHもある.LDHは四量体で活性を示すが,それを構成するサブユニットにはA(M:骨格筋)型,B(H:心筋)型およびC(X:精細胞)型の3種がある.各遺伝子は,A型はNo.11,B型はNo.12染色体に局在し,C型は不明であるがX染色体上には存在しない(Mckasick, V. A.:Science,196, 39, 1977).各遺伝子は進化の途上でA型から染色体の複製またはリンゲージで生じて固定され,B型,次いでC型が作られた(Zinkhert, W. H.:Science, 164,185, 1969/Markert, C. L.:S cience, 189, 102, 1975).AおよびB型は精巣を除く各組織で作られ,細胞上清分画であるが,C型のみ思春期後の精巣(哺乳動物,鳥類のみ)で作られ,ミトコンドリア分画にも局在している.
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