論述
骨腫瘍の血清乳酸脱水素酵素について
入部 兼一郎
1
Ken-ichiro IRIBE
1
1国立がんセンター病院整形外科
pp.115-122
発行日 1969年2月25日
Published Date 1969/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904037
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緒言
疾病を正確に診断し,またその経過を的確に把握することはその疾患を治療するにあたつて欠くべからざることである.診断,治療の一助となる臨床検査方法は医学の進歩とともに年々新しいものが生み出されており,血清酵素に関する研究もそのうちの一つである.
乳酸脱水素酵素(Lactic Dehydrogenase,以下LDHと記す)が臨床にとりいれられたのは比較的近年のことで,本酵素が悪性腫瘍患者の血清中に増加する事実は1954年,HillおよびLevi8)によつて初めて報告された.彼らは51例の悪性腫瘍患者の血清LDH活性値を測定し,そのうちの49例96%に活性値の上昇を認め,良性腫瘍や結核ではすべて正常値であつたと報告した.
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