編集者への手紙
尿中酵素の再認識—乳酸脱水素酵素
蓮沼 紀子
1
,
佐野 紀代子
1
1東京医歯大中検
pp.896
発行日 1978年8月15日
Published Date 1978/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914843
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患者に苦痛を与えず,しかも多量の試料が手に入る尿を拾てておくのは惜しい.なんとかもっと臨床化学分析材料として利用できないだろうかという気持ちから,尿中成分分析に取り組んでから約3年になる.その間SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による尿タンパク分析(佐野紀代子,他;生物物理化学,21,227〜232,1977),尿中γ-GTP総活性及びそのアイソザイム分画(佐賢紀代子,他;臨床病理,23,819〜822,1975,長裕子,他;臨床病理,25,921〜926,1977)と実験を進めてきた.これらの経験を通してみると,尿が排泄物ゆえの悩みはあるけれども,それなりの処理をほどこせば血清成分と同様,尿中成分も決してないがしろにできないという意見に到達した.尿中γ—GTPが血中のそれより多く存在し,しかも臨床的意義を持つことにすっかり気を良くして,血清酵素の中でもいちばん多く測定されている乳酸脱水素酵素(以下LDH)に焦点を合わせた(蓮沼紀子,他;衛生検査,25,466,1976).
尿LDHに関する報告を探してみると,20年前に少し研究がなされているのみで,近年ではあまり報告がなされていない.このことに意を強くして,LDHに挑戦した次第である.そこでまず常法どおりLDH活性及びアイソザイム分画の測定のための基礎的検討を行った.その結果,次のごとくに行えば良いことが分かった.
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