学会印象記 第37回電気泳動学会総会
電気泳動法のDNA診断への展開
古賀 俊逸
1
Shun-itsu KOGA
1
1九州大学第3内科
pp.94
発行日 1987年1月15日
Published Date 1987/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913236
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秋たけなわの1986年10月17,18日の両日,第37回電気泳動学会が高月清総会会長(熊本大学第2内科教授)の下に,熊本市産業文化会館において開催された.好天にも恵まれ,筆者も充実した2日間のプログラムを堪(たん)能した.
電気泳動学会は会員1336人を擁しており,年1回の総会がすでに37回を数えているところからもわかるとおり,歴史の比較的古い学会に属する.本学会の主たる方向は,分析法としての電気泳動法の開発,改良に関するものと,電気泳動法を利用した物質の分離,精製,同定と病態の解析などにあると思われる.しかし,電気泳動という手技を一つの柱にしていても,時代とともにそのテーマには変遷がみられる.今回の一般演題32題とポスター5題をみてみると,電気泳動法の理論や新しい手技,実験方法の開発に関するもの,各種血清酵素のアイソザイム分析や結合性免疫グロブリンに関するもの,α—フェトプロテインのレクチン親和性による分析と肝癌診断への応用,各種血漿蛋白質の分析,急性期蛋白質,髄液,歯根部病巣浸出液の分析などが含まれていた.各演題には発表時間10分間と討論時間が3分間割り当てられており,ゆっくり発表を聞くことができ,研究者間でも十分な討論が行われていた.これは最近の学会が数会場に分かれて,短い時間に多数の演題が発表される傾向にあるのに比べて,たいへん心地良いことであった.
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