糖鎖の分析法・1
糖蛋白質糖鎖の構造とその生合成機構
高崎 誠一
1
Seiichi TAKASAKI
1
1東京大学医科学研究所生物有機化学研究部
pp.65-72
発行日 1987年1月15日
Published Date 1987/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913232
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はじめに
糖蛋白質は,蛋白質や核酸と同様にきわめて重要な機能を有した生体高分子の一つとして,生物種や臓器,器官を問わず広く分布している.種々の細胞によって合成される糖蛋白質の一部は,細胞内にとどまり形質膜などの膜構造を構成する成分として,また一部は細胞外に分泌され血漿,消化液,乳汁,細胞間質などに含まれる成分として存在する.
血漿中に含まれる蛋白質性の成分は,アルブミンを除くほとんどすべてのものが糖を含んでいる.これら糖蛋白質の病理的変化の分析はきわめて重要な医学的意義を有する.種々の疾病に伴って特定の糖蛋白質の血漿内レベルが上昇したり,あるいは減少したりすることはよく知られているところであり,それらの変化は臨床検査の一項目として調べられている.これによって得られる情報は量的変化に関するものである.
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