特集 先端技術と臨床検査
序
山中 學
1
1東京大学医学部臨床検査医学講座
pp.1173-1174
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913112
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20世紀も残すところわずか15年足らずとなり,世界は21世紀に向かって,限りない希望と期待に胸をふくらませている.20世紀後四半期における科学技術の発展は,当然のことながら医学の分野にも大きな変革をもたらした.
現代の医学では,癌,代謝異常,免疫異常について,細胞レベルでの病因解明,診断が特に重要な話題として取り上げられている.これに対しては,基礎医学と臨床医学の有機的な連携が必要であることはいうまでもないが,理工学をはじめとする関連科学との協同は不可欠となり,学際的研究による理工学的先端技術(ハイテクノロジー)と生物学的技術(バイオテクノロジー)の結合による医療が推し進められている.それは臨床検査の分野においても,従来は不可能と考えられていた検査診断技術を臨床の場に出現させ,困難とされていた検査手技を極めて容易なものにしてしまった.日常生活におけるいわゆるワンタッチ式機器に類した,機能的には過去のものと比べて格段と優れた測定法や測定装置が実用化し,従来の臨床検査というものに対する一般の概念すら大きく変えざるをえなくなってきた.
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