今月の主題 定量的細菌検査とその臨床的意義
技術解説
血中細菌の定量法
藪内 英子
1
,
山本 啓之
1
Eiko YABUUCHI
1
,
Hiroyuki YAMAMOTO
1
1岐阜大学医学部微生物学講座
pp.569-578
発行日 1986年6月15日
Published Date 1986/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912973
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菌血症,敗血症患者の血液から細菌を検出することは診断はもとより治療方針の決定,予後の判定にきわめて重要であることは言うまでもない.血液培養瓶の考案と市販以来,患者血液からの細菌の検出はもっぱらこの増菌培養法に依存し,患者血液から細菌を検出するという定性的な培養法のみが日常検査で広く実施されているのが現状である.このような中で,近年特に血中細菌の定量に目を向けた論文も少なくない.したがって鏡検または培養によって血中細菌を簡便に定量することができ,検出菌の同定とともに血液単位容積当たりの菌数が判明すれば,各菌種による感染症の病態の解明に新たな視点が開けるかもしれないし,また菌種と患者の防衛能に応じた予後の判定が可能になるかもしれない.
このような観点から血中細菌の定量法について過去約80年間の流れを顧みるとともに,感染症の変貌とも関連してその意義付けと新しい手技を考えてみよう.
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