今月の主題 黄疸
技術解説
血中ビリルビン分画法
山本 俊夫
1
,
足立 幸彦
1
,
山下 正己
1
,
南野 達夫
1
,
尾嵜 潔
1
,
吉川 隆夫
1
,
榎本 雅一
1
,
高津 尚子
1
,
大場 康寛
2
,
中本 潤子
3
,
増田 詩織
3
Toshio YAMAMOTO
1
,
Yukihiko ADACHI
1
,
Masaki YAMASHITA
1
,
Tatsuo NANNO
1
,
Kiyoshi OZAKI
1
,
Takao YOSHIKAWA
1
,
Masakazu ENOMOTO
1
,
Hisako TAKATSU
1
,
Yasuhiro OHBA
2
,
Junko NAKOMOTO
3
,
Shiori MASUDA
3
1近畿大学医学部内科学第二教室
2近畿大学医学部臨床病理学教室
3近畿大学中央臨床検査部
pp.635-641
発行日 1985年6月15日
Published Date 1985/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912588
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血清ビリルビンは総ビリルビン(TB)を形成する非抱合ビリルビン(Bu),抱合ビリルビン(Bc)をジァゾ反応により間接ビリルビン,直接ビリルビンに分画している.Bcには2グルクロン酸抱合ビリルビン(BDG),1グルクロン酸抱合ビリルビン(BMG)その他の分画があり,血清内でも高速液体クロマトグラフィーにより分画が可能であるが,臨床的にはなお実用的ではない.Bu,Bcのほかにジアゾ試薬に直接反応するアルブミンと強く結合して,血中淳滞時間の短いBu・Bcと異なり,アルブミンとともに代謝され血中に長期間存在するδ(デルタ)ビリルビン(Bδ)があり,最近迅速に測定しうるようになった.直接ビリルビンをBcとBδに分画すると黄疸が悪化しつつある際はBc比率が高く,改善しつつある際はBδ比率が高く,ときにはBcはみられない状態となる.Bδは黄疸の病勢,予後の判断上今後きわめて重要な役割を果たすものと考えられる.尿ビリルビンはBc比率の高いときは血清TB低値でも陽性となるが,Bδ比率が高いと,たとえ血清TBが高値でも出現が少なくなる.
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