技術解説
新生児血清ビリルビン値とEberlein(エバーライン)分画法
官川 統
1
1東大分院・産婦人科
pp.1242-1246
発行日 1969年12月15日
Published Date 1969/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906630
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はしがき
私どもが昭和27年ごろに行なっていた交換輸血と現在のそれとを比較してみると,大きな違いがあることに気づく.当時の交換の対象となるものは,既往に何回も重症黄疸児を持ち,その大半が死亡,または脳性麻痺となっているような症例に集中していた.そして予定日前後に入院させ,多くは帝王切開(交換輸血の技術が幼稚であり,加うるに交換血が集めがたいために,定った時間に行なう必要があった)で児を娩出させ,検査結果によって交換の適応が決定され,引き続いて交換を行なったものである。したがって初産婦の児が黄疸強度になってもあまり関心がもたれず,前述のごとく既往のはっきりしている例を目標としていた.
しがし昭和30年ごろより既往の有無にかかわらず,新生児期に過ビリルビン血症を示した場合,そのうちのいくらかが脳性麻痺,または重症黄疸死亡に進むことが明らかとなり,いずれも交換輸血によって解決されるコースが取られるようになった.その結果,新生児のすべてについて黄疸の動向の情報が要求されるようになり,それも主観的なものではなく,生化学的に血中ビリルビン値測定でなければならなくなった.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.